「__のみちゃん、穂海ちゃん」

やっと、トランクから出られる…

そう目を開けると、そこは病院だった。

あ、そうか、私は入院してて……

遅れて、やっと今の状況を把握する。

心配そうな顔をしてるのは碧琉先生。

そっか、夢か。

そうだ、昨日から熱を出してて…

「穂海ちゃん、これ」

そうハンカチを手渡され、初めて自分が泣いていることに気がついた。

ハンカチを受け取り、涙を拭く

夢、夢か……

なんだかすごく長い夢だった。

ほっとすると同時に、夢の中での恐怖から解放されたことの安堵でまた涙が出る。

「穂海ちゃん、怖い夢みたの?」

コクン

とても怖かった。

終わりのない悪夢のような日々を思い出してしまった。

そっか、もうあの家に戻らなくていいんだ。

もう、わざわざ苦しくなる学校に行かなくていいんだ。

そう思うと、心が楽になった。

「はぁ」

と安堵のため息をつくと、それと同時にお腹がなった。

「お腹空いた?昨日からほとんど何も口にしてなかったもんね。ちょっと変な時間だけど、何か食べる?」

そう言われて、昨日は気持ち悪くて食べても吐いてしまったことを思い出す。

コクンと頷くと、碧琉先生はニッコリ笑って「じゃあ、もらってくるね」と部屋を出ていった。