「ありがとう、もう服下ろしていいよ。」

そう言うと、穂海ちゃんはすぐに服を下ろして、さらに布団まで被ってしまう。

…怖がらせちゃったかな…………

「ごめんね、怖かった?」

「……………………うん」

しばらく間を置いてから小さく返事が聞こえた。

「ごめんね、でも聴診させてくれてありがとうね。…まだ、しばらくは怖いかもしれないけど、ちょっとずつ慣れてくれればいいから。」

そう言いながら、撫でるためにポンっと穂海ちゃんに触れると穂海ちゃんは

ビクッ

と反応した。

完全に怯えさせちゃった……

しばらく、背中を撫でていると、すすり泣く声が聞こえてきた。

もしかしたら、この数日で色々ありすぎて、まだ混乱してたり、少し心が疲れちゃってたりするのかもしれない…

そう思いつつも、一応心配なので声をかける。

「…穂海ちゃん大丈夫?」

そう声をかけると、しばらくして布団から穂海ちゃんの細い腕が伸びてきて俺の白衣の袖をキュッと掴んだ。

穂海ちゃんなりに、俺に甘えてくれてるのかもしれない。

きっと、今まで誰かに甘えることが出来なかったから、上手く甘えられなかったり、悩みを言えなかったりする所もあるのかな。

「苦しいことあったら教えてね。体だけじゃなくて、心もね。俺らは、いつでも相談に乗るから。」

そう言って、白衣を掴む小さな手を両手で包み込んだ。

穂海ちゃんの手はまだ冷たかった。