私が恋を知る頃に




『なんでお前ばっかり』



ハッと目を覚ます。

急いで辺りを見渡すけど、窓の外には晴れた空が広がっていて、部屋には誰もいなかった。

……今の、夢、だよね?

遅れて心臓がバクバクと音をたてる。

天気も良くて、きっと気持ちいい朝ってやつ。

でも、私の心はざわざわと落ち着かない。

外は晴れてるけど、それが余計にさっきの言葉を思い出させる。

お母さんの声だよね……

お母さん……

また、嫌な気持ちが込み上げてきそうで頭をぶんぶんと振った。

前みたいに、急に息が乱れたりはしない。

でも、喉のあたりがキューッてなって、空気が吸いにくい。

苦しくて、思わず喉に手が伸びる。

これ、ダメなやつだ。

頭の片隅ではわかっている。けど、苦しいって思えば思うほど強く押さえつけちゃって、もっと苦しくなる。

誰か呼ばなくちゃ。

お願い、来て。

碧琉くん……

助けて

祈るような思いで、ナースコールを押した。