「そっか。そっか。……辛かったんだね。よく、頑張ったね」

穂海ちゃんは、どこか遠くを見つめながら、ポロポロと涙をこぼした。

涙は次第に量が増え、終いには声を出して泣き始めてしまった。

俺は、穂海ちゃんに近付いて優しく背中を撫でた。

嫌がるかな?とも思ったけど、穂海ちゃんは素直にそれを受け止めてくれた。

「いま、思うこといっぱいあると思う。言いたくないこともいっぱいあるよね。…でも、言いたくなったら、言ってね?いつでも、相談に乗るから。大丈夫、大丈夫。」

穂海ちゃんは、それからしばらく泣き続けた後、疲れたのか、コテンとベッドに倒れ込むようにして眠ってしまった。

まだ目元にたくさん溜まっている涙を拭い、それからさっき出来なかった診察をすることにした。

心做しか、穂海ちゃんの顔がいつもより安心しているように見えた。