空港に着くと君は手慣れた様子でチェックインを済ませ、身軽になって俺の元に戻って来た。


出発ゲートを通る時間まであと30分以上ある。


君は暇だねーと首を傾げて、持て余した時間をどう過ごそうか考えている。



土産物屋でも見て回るかと提案しようとした時、君がぱっと表情を輝かせてこちらを向いた。


「展望デッキに行きたい!

晴れた七夕に日本にいるなんていつ以来か分からないから、天の川が見たい!」



そうだ、今日は7月7日、七夕だった。

ここ最近笹の木を至る所で見ていたから、七夕のシーズンであることは分かっていたけれど、今日がまさに七夕の日だということはすっかり忘れていた。


七夕は日本のほとんどでは梅雨の時期で、晴れることは少ない。


今までの人生で天の川を見ようと思ったことがないせいか、確かに七夕の日が晴れている記憶は無かった。


七夕に日本にいるのが数年ぶりな君にとって、晴れた七夕は俺以上に貴重だろう。



こんな空港のような明るいところで天の川が見えるかは定かではないが、ちょうどいい暇つぶしになる。


俺たちはいちばん近くの展望デッキへ向かった。