“運ばれながら犬は思いました。
本当は知っているのだと。

別に燃やされても本物の犬になれない
ことくらい。”


“それでも、犬はその数少ない希望に
かけました。

本物の犬になれることを願って。”


“犬は怖くて震えました。
火が熱いのは知っています。

助けて、××ちゃん。
怖いよ、××ちゃん。”


“急に目の前が明るくなりました。
炎がもう近い。

あぁ、燃える。
熱い、熱い、熱い、、”

“その時、「シロ、おいで。」
優しくて大好きな
声が聞こえた気がしました。

走馬灯みたいに、今までの
××ちゃんとの思い出が蘇ります。”


“犬は涙が止まりません。
そして、思いました。

美海ちゃん、今までありがとう。
美海ちゃん、ずっと大好きだよ。”


“犬は意識を手放しました。”