“犬は気づけば泣いていました。
自分でもわかりません。

水が出るはずがない身体なのに
涙が出ていました。”


“これ以上見てたら辛いと思った
犬はアルバムを身体全体を使って
閉じました。

アルバムには
《美海とシロのアルバム》
と書いてありました。”


“物にだって感情はあります。
出さないだけなのです。

犬は静かに泣きました。”


“泣いて、泣いて、泣きました。”


“そして、朝が来ました。”


“犬はごみ袋に入り込みました。
さぁ、これから旅立つのです。

××ちゃんと過ごしたこの
愛おしい部屋から。”