すると、後ろから肩を引かれた。

「何してんの?」

――高野君が、ちょっと心配そうに息を切らしていた。
手にはたこ焼きの白いパックを持って。

「えっ、別に何もっ…」

スネて泣きそうだったくせに、取り繕おうとする私。

「これ、一緒に食わね?ここに来るといつも食ってるんだ」
「たこ焼き…」
「嫌い?」

ぶんぶんと首を振る。

「ううん、好き…」

そっか…私がりんご飴を選ぶように、高野君は、毎年たこ焼きを食べるんだ。


ゴミ箱にりんご飴を捨てた後、どこか座って食べられる場所を探しに、境内の松林に入る。
少し人が賑わう場所から離れると、高野君と二人きりでいるんだとドキドキする。

「りんご飴捨てたの?」
「落としちゃったから…。躓きそうになった時に…」
「あぶねえなぁ」

薄暗い石段に、腰を下ろして。
高野君は私の左側に座って、たこ焼きのパックを開ける。
その隣で私は、少し身を屈めて鼻緒の調子を探っていた。
切れてはいないみたいだと安心していると、高野君と目が合った。