学校に行けばクラスメイトや担任の先生、教科担任に心配された。

 医者からも適度な運動はしてもいいと言われたから、体育の授業は体育館を歩いたり走ったり体を動かした。

 倒れてからの学校生活は色が付いたみたいに楽しく感じた。

 つまらなく感じていた日々がまるで嘘のように思えた。

 「お前、笑うようになったな」

 担任にそう言われて嬉しく感じた。

 「今はすごく楽しいんです。大げさかもしれないけれど、生きていて良かったって思うほどに」

 僕は笑って答える。

 これは本心だ。

 本当に楽しくて仕方がない。

 こんな気持ちになるのはきっと初めてだ。

 「それは、よかった。教師としても嬉しいことだ」

 担任は僕の頭にポンと手を置く。

 「楽しいのは分かるが程々にな」

 担任は教室を出て行く。

 僕は自分の席を立つ。

 その瞬間、クラッと眩暈がした。

 その日はご飯を食べないで日記だけ書いて眠った。