「楓奏君、顔を上げなさい」

 陽多の父親に言われて顔を上げる。

 すると2人は優しく笑っていた。

 「大丈夫だよ、何も変わらない」

 「ええそうよ、何も変わらない。それに約束は守るわ」

 その笑顔と言葉が嬉しくて、思わず僕は泣いてしまった。

 陽多の母親は僕の頭を優しく撫でた。

 「会えて嬉しいわ楓奏君。ゆっくりしていってね」

 「そうだな。こっちにいる間は寛いでいきなさい」

 この人達は昔からそうだった。

 昔から優しくて一緒にいたら安心できる人達。

 戻ってきて良かった、と僕は改めて思った。