陽多の家は変わっておらず、マンションに住んでいた。

 「いらっしゃい、楓奏君。久しぶりね!」

 「はい。お久しぶりです、おばさん」

 「上がってって。ご飯も出来てるから!」

 「楓奏の荷物、俺の部屋に運んどくわ」

 「あ、ありがとう」

 陽多は自分の部屋に入って行く。

 すると、陽多の母親に話しかけられた。

 「楓奏君、陽多から電話が来る前に貴方のお母さんから連絡があったの。その…病気って」

 「おばさん、その話は明日陽多がいなくなってからでもいいですか。…陽多には内緒にしておきたいから」

 「ええ、分かったわ」

 僕らは玄関から中に移動する。

 夕飯の時は陽多の父親も交えて過ごした。

 きっと今日の夜にでも陽多の父親には陽多の母親から話がいくだろう。

 陽多がトイレに行っている間に日記を書いて鞄の中に仕舞う。

 これだけは本当に見られてはいけない。

 自分の両親にも、そして陽多と陽多の両親にも。