彼は私を置いて前に進むんだ。死んだ私はこのままなんだ。なんで。なんで。

次に彼が訪れたのはお墓だった。「私の」お墓だった。

「ごめん。俺はもう前に進む。」
知ってる。
「でも結花のことは忘れない。一生」
うん
「毎日でもここに来る」
うん
「俺は医者になる」
うん?
「結花の病気は先天性のもので今の医療では直せないらしい。」
知ってる。
「だから俺が見つける。」
ふざけんな。
あんたの夢は陸上選手でしょ。いつも部活の後に私のとこ来てたから眠くて毎日寝てて話す時間なかったでしょ。それはどうなるの。
「だから応援してくれ」
無理。
「お願いだ。」

そう言って立ち上がった彼を見てすごく腹が立った。私はそんなこと望んでない。私のことさえ覚えててくれればいい。もう欲張らないから。他の人と付き合ってもいいから。自分の夢だけは捨てないで!

そう思った瞬間彼が私の方を見た。

「結花?」
え?
「って、なわけねーよなぁ…」
だよね。
「でもなんか結花が怒ってる気がしたんだよな。

怒ってるよ。やめないでよ。ふざけないでよ!私が元気だった頃スタートの合図したことあったじゃん?!あの時の光景まだ覚えてるよ!早くてかっこよくて凄かった!なのに!なんで!