紡 side
私には、大好きな家族がいた。
明るくて、強いお父さん。
優しくて、綺麗なお母さん。
本当に幸せだった。…あの、6歳の誕生日を迎えるまでは。
私は、6歳の誕生日の日。関東No.2の相楽組によって私は誘拐された。
…本当に、あっという間だった。目の前で泣きながら私に手を伸ばすお母さん。悔しそうに私を追いかけ助けようとするお父さん。まだ幼く、力のなかった私は抵抗も出来ずに意識を失った。

そして、目を開けると世界は一変していた。
平気で人を殺す世界。人を物としか見ていない大人達。…怖かった。恐ろしかった。けれど、抵抗すれば殴られた。何度も、何度も。
助けなんて、来ないと思っていた。誰も、助けてはくれないと諦めていた。