予定より10分ほど遅れて、なんとか彼の車に乗り込み出発する事は出来たが、路が混んでいてなかなか前へ進まない。
このままだと、彼のご両親へ連絡していた時間には到着出来ない。

これやばくない?

あー…緊張で胃が痛いうえに、帯も苦しい…
早くこの緊張と、着慣れないこの着物から、解放されたいよー。

「平日だから、路混まないと思ったけど、結構時間かかりそうだぞ?
やっぱり新幹線にすれば良かったかな?」

本当は新幹線で行く予定をしていたのだが、昨日になって、彼のお姉さんの希美子さんから、彼へ電話がかかってきたらしく、車で行く事になったのだ。

なんでも、実家にどうしても持って行きたい荷物があるとかで、車で一緒に乗せて行って欲しいと、連絡があったのだ。
それで、少し回り道をして、希美子さんのマンションへ迎えに寄ったのだが、挨拶もそこそこに、小さな鞄一つだけを渡され、自分は新幹線で行くと言って、呼んでいたタクシーに乗って行ってしまったのだ。

「あの鞄、何が入ってるのかな?
そんなに重くなかったみたいだけど?」

「多分、着替えの下着くらいだろ?
乗せて行けと言ったものの、流石に姉貴も気を利かせたんだろよ?
一緒に乗って行けば、真美が気疲れすると思って?」

「なんか悪い事しちゃったね?」

「気にする事ないさ!
あっちはあっちで、“ よ○ちゃん ” ツマミにビール飲みながら、のんびり帰ってるよ?」

「よ○ちゃん?」

「あー真美は知らない? イカの駄菓子?
姉貴、昔からあれ好きでさ、今は、あれツマミにビール飲むのが好きらしいよ?」

「へーそんなのが有るんだ?」

「俺は真美と二人っきりの方が良いし!」と言って、左手で私の太ももの辺りを摩り、着物の合わせから手を差し込もうとする。

(パッシン!)

「あぶないでしょ!?」

「ちっ!つまんないの!」

ホントにこの人は、エロガキみたいな事ばかりするんだから!
まぁそんな所も、私にしか見せないから好きなんだけどね?

「ねぇ、疲れてない? 大丈夫?
夜勤明けなんだから、少し休憩した方が良くない?」

「真美が触ってくれてたら、疲れるどころか元気になるけど?」と言って、私の右手を取り自分の股間へと持って行った。

もう…また!
「それは、これを握り潰せと言う事かしら?」

「あっウソウソ!潰されたら、使えなくなっちゃう!
もう真面目に運転します…ごめんなさい…」

「ええ、その方が良いと思う。
私も命欲しいので、ぜひそうして下さい?
いつか、私達の子供の顔も見たいしね?」

彼は「子供か…早く見たいなぁ」と嬉しそうに言って、その後は、真面目に安全運転で走ってくれた。