玉越律子さんの弟さんは、挨拶もそこそこに、結婚を前提に付き合って欲しいと言う。
え?
「唐突過ぎるのは、わかってます!」
ホント唐突すぎる。
「でも、初めて貴女に会った時から、運命を感じたんです!」
運命…?
「えーと…ご…ごめんなさい」
少しずつ距離を縮めてくる彼に、私は恐怖すら覚えた。
それ以上近づかないで…
「姉から貴女の事を聞いた時は、これは間違い無く、神からのお告げだと思いました」
神からのお告げ…?
な、なんなの?
運命だとか、神からのお告げって…
そんなの知らない。
「私、結婚するつもり無いんで…」
「大丈夫ですよ? 貴女はきっと僕を好きになりますから?」
彼の手が私の肩へと伸びて来る。
嫌っ!
全然大丈夫じゃない!
以前の事がフラッシュバックして、体が震える。
怖い…
ほんの僅かで肩に触れるというところで、ワンコロが彼に吠えてくれたお陰で、彼の動きが止まった。
「すいません。 急ぎますので!
ワンコロ行くよ!」
なにあれ…?
お店で対応してくれた時のイメージと全然違うじゃ無い!
マジで怖かった…
「ワンコロ、助けてくれてありがとね?」
律子さんには申し訳ないけど、絶対無いって言わなきゃ!
彼に触れられそうになった時、本当に怖かった。
また…思い出しちゃった…
二度とあんな事は無いと思ったのに…

