慌てて現れた生田さんは、カウンターで酔い潰れ眠る彼女を優しい眼差しで見つめ、大きな手で大切に包み込むように彼女を抱き抱えた。

「生田さんごめんなさい。真美さんがこんなにお酒弱いなんて思わなくて…本当にごめんなさい」

「いえ、最近寝不足だったからだと思います。
いつも私の帰りを寝ずに待ってましたから…」

なんて健気なんだろう。
そうだよね、起きて待ってないと、顔合わせる時間なんて、全然無いもんね?

「生田さん、今日はもうこんな時間だし、ホテルに泊まっていったら?
部屋も空いてるし?」

勿論、柊真さんも私の意見に賛成してくれた。

「いえ、そう言う訳には…」

私達の申し出に、真面目な生田さんらしくすんなりとは受け入れなかった。

「生田そうしろ!
それから明日は、休んで真美さんとゆっくりしろ?」

「しかし仕事が?」

「俺が休みたいんだ!
恭子が帰って来てから、まともに抱いてないから、このままだと半年もしないうちに離婚されるかもしれない。だろ、恭子?」

「そうね。
あまり構ってくれない旦那様より、若くて遣り甲斐ある人の方が良いわ! 痛っ」

調子に乗って言う私の頭に、柊真さんの拳骨が落ちた。

柊真さんの口添えもあり、生田さんは渋々では有るが、真美さんと一緒にホテルに泊まって行く事になった。
勿論、私達も仮住まいの部屋へと戻った。
部屋に入ると、柊真さんのスイッチが入ったのか、熱いキスを落としてくれる。
勿論、私もそれに応え彼の首に腕を回すと、互いの舌を絡ませ熱を伝え合う。
躰が熱を持ち準備が整ったところで、部屋のチャイムが鳴った。
ドアを開けると、そこには生田さんが立っていた。

「生田さん…どうしたの? 真美さんは?」

「部屋で寝てます。俺は一度家に帰りますので、真美を見ててくれませんか?」

家に帰るって…
どうして?

「どうした?」

隣にいた柊真さんが聞くと、家に留守番させてる犬の世話に一度家に戻ると生田さんは言う。

あー犬を飼ってるって聞いた事あったなぁ…
でも、真美さんが目を覚ました時、生田さんが側にいてくれた方が絶対喜ぶだろうし…

「ねぇ、私達で行かない?」