「さっちゃん…本当に調べたの?」
「調べましたとも!
親友の頼みだからね?」
いや…頼んだつもり無いんだけど…
で、誰になんて言って聞きまわったの?
そこが私には問題なんだけど?
「聞きたくないなら、話しませんけど? どうする?」
どうするって…どうする?
知りたくない様な…知りたい様な…
「せっかく調べたなら、聞いてあげてもいいけど?」
「なーに?
そのどっちでも良いみたいな言い方?
聞きたくないなら、良いよ? 話さないから!」と言って、さっちゃんは顔を背けた。
え?
「あー聞く聞く!
教えて下さい。沙知様!」
さっちゃんはニヤっと笑い
「グラスワインも良い?」と言う。
私が良いから話せと言うと、さっちゃんはヨシ!と言って話し出した。
さっちゃんの話だと、
深田恭子さんという人は、元々はさっちゃんと同じハウスキーパーに配属されて、3年でチームを任せられ、次の年には新人研修の指導員として選ばれるほど、優秀だったと言う。
「え!? 新人研修の指導員って…あの指導員?」
毎年行われる新人研修は、精神的にも肉体的にも大変だと言われていて、指導員は一般の社員では、とても務まらないと言われている。
学生気分で参加する者達を監視指導するだけではなく、自らも体力作りには参加するそうだ。

