部屋の鍵は締めてある。
他のお客様が間違って入って来ることは無い。
考えるまでもなく、稀一郎さん彼だ。
「まーみちゃん!」
「稀一郎さん!
何やってるよの!?」
「うん。やっぱり一緒入りたくて、戻ってきちゃった?えへへ」
えへへ、じゃない!
「一緒に入らないって言ったでしょ?
出て行って!って言うか、部屋に戻って服着て待ってて!」
「分かった。
そんなに言うなら、部屋で待ってる…」
あれ?
なんかすんなり言う事聞いてくれる?
再び扉を開け、部屋へ戻りかけた彼は、足を止め振り返ると「でも、本当に良いの?」と聞いた。
え?
「部屋からは、真美の入ってる姿丸見えなんだけど、それでも良いの?
もしかしたら、僕一人楽しんじゃうかもよ?
ここ数日、お預けでたまってるし?」
一人で楽しむってなにを?
溜まってるって…?
え? もしかして、私を…
オカズにされるくらいなら、一緒に入る方がまだ良い。
「分かった…良いよ、入っても…
でも、何もしないよ?
お風呂に入るだけだからね?」
「うん。真美ちゃんが欲しいって言わなきゃ、僕はしないよ?」
彼はゆっくり湯に入ってくると、私の隣にぴったりとくっついた。
「ねぇ…もう少し、離れても良いんじゃない?」
「良いじゃん?
くっつくくらい?」
だって…
そんなにくっつくと…私の方が…
「あっ、ねぇーさっきの話教えて?」
自分の躰が火照り始めてるのを感じ、彼に悟られない様に話を振った。
「なんの話?」
「さっき、後で話すって言ってたでしょ?」
「あーあれね?
話すのは良いけど、その前にチェックしてからね?」と彼は言うと、私の下腹部へ手を伸ばした。
「ちょっちょっと!
何もしないって約束したでしょ?」
「うん。何もしないよ?
ただ、真美がモゾモゾしてるから、どうしたのかと思って?
話の前にチェックしてあげてるだけ?」
「チェックなんて…あっ…しなくて…ぅん…」
「あれ?随分濡れてるね?」
「ぁ…あたりまえ…だって、お風呂だもん…んっ…」
「おかしいなぁ…うちの湯、こんなにヌルヌルしてたって?」
あーもう…だめ…
「もう…意地悪しないで?」
「意地悪してたのは真美の方でしょ?
どうして欲しいか言って?」
「…して欲しい」
「なにを?」
「稀一郎さんのが欲しい…」
「そんなに可愛い顔で言われると、堪んないじゃん?
真美が好きなだけあげる」
彼は、濡れ求める私の中へと、大きく膨らんだ欲棒(よくぼう)を差し込んだ。
激しく波打つ水面(みなも)は綺麗な月をも歪めた。

