体の力が抜け、腕から滑るように、ずるずると床に落ちていく。

副社長も膝をおり、そんな私を抱きしめ直す。
男らしいがっしりした胸、ミント系の爽やかな香りが、私の鼻をくすぐる。

しばらく、副社長に抱きしめられて、
やっと現実なんだと分かった。

少し腕を離して、奪うように副社長が唇を重ねる、
茫然とそれを受け止めていると、副社長が不安そうに聞いてくる。

「今も僕の事好き?」

彼を好きだった3年が頭の中を駆け巡る。

しばらく返事をしないでいると、

「まさか高崎硝子の息子が・・・」

と予想外の事を言われるので、あわてて、

「好きです」

と告げる。

「自分勝手でごめん、でも最初に好きになったのは僕だから」

その言葉に、3年好きだった事は秘密にしようかなと思いながら、
もう一度唇を重ねた。