その時、着信音が鳴った。画面を確認すると、そこには宮園拡樹と表示されていた。携帯を握った手が思わず動きを止める。

「あれー?噂をすると、イケメン婚約者から連絡じゃん。出なよ。私が代わりに出てあげよっか」

戸惑っていると、携帯を奪われそうになる。

「あー、ダメ!出るから、静かにしててよね」

ニヤニヤとこちらを見ている3人を気にしながら、恵巳は画面に触れた。

廊下に出てしばらく話した後、ではまた、と電話を切った。

「何の電話だったの?時間とか決めてたけど、もしかしてデート?どこ行くの?何するの?」

「わかんない。内緒って言って教えてくれなかった」

「なによ、嬉しそうにしちゃって。良いわよね、デート。羨ましい限りだわ」

「嬉しそうになんか…!」

反論しようとすると、背後に由紀子がぬっと現れた。

「今度絶対に会わせてよね。知り合いを紹介してもらうんだから。抜け駆けは許さない」

「なんだろう。悪魔に取りつかれた気分なんだけど」

「早く祓わないと、デートで良くないことでも起こるんじゃないのー?」

縁起でもないことを言わないでほしい。

それから、どんなに夜が更けていっても4人はだらだらと話を続け、気が付くと明るい電気の下で眠っていた。