「出来ることなら、恵巳さんをうちに閉じ込めたいくらいです。そんなことしたら、嫌われるのでしませんけど」

真顔で言われ、反応に困った恵巳は首を傾げた。

「拡樹さん、それは、笑うところですか?」

「半分冗談ですよ」

半分。残りの半分はなんなんだ口に出しそうなのをぐっとこらえて、飲み込んだ。

「拡樹さん…」

「大人気ないことをしているのはわかっています」

切なさを含んだその声色に、ぐっと胸が締め付けられた恵巳は、あえて明るい声を出した。

「海が見たいです。綺麗なところ、知りませんか?」

そんな恵巳からの提案に、驚いた顔を見せた。良いところを知っています、とすぐにいつもの優しい笑顔に戻り、ハンドルをきった。