対立相手が婚約者。それって何かの冗談ですか?

「どんな人なの?写真見せてよ」
「いつから付き合ってんのさ?どこが好きなの?」
「どこで出会ったのよ。彼氏さんにお願いして、合コンセッティングしてよ。私たちもで出会いが欲しいの」

そこからは、質問の嵐に飲み込まれた。特に出会いを求める女性陣は、すごい勢いで詰め寄ってきた。

気が付くといつの間にかほとんどが酔いつぶれ、命からがらどうにか店の外に逃げ出していた。

どれくらいの時間外にいたのだろうか。だいぶ酔いも引いてきて、ようやく頭もすっきりしてきた。

「大丈夫か?飲みすぎだろ。ほら、水もらってきた」

「ありがとう」

蓮から水を受けとり、口にふくむ。

「宮園拡樹のこと、もうバレてんじゃん」

「まずいよね。どこから噂を聞きつけてきたんだか」

どうしようもないとわかっていながら、全員の記憶が消えてしまえばいいのに、なんてくだらないことを考えては空を見上げる。

「はぁ。だったら、俺と…」

何か言いかけた蓮をさえぎるように、1台の車が停まった。
運転席のドアが開くと、そこだけさわやかな風でも吹いているのかと錯覚させた。おりてきたのは、華麗にスーツを着こなした拡樹だった。