覚悟を決めて、写真を突き付けたというのに、いつの間にか形成は逆転。拡樹に追い詰められていた。

「だから…」

この女性とホテルに行った。お前は仕方なく相手してるだけ。

そんな言葉がよぎる。自分で考えたこととはいえ、落ち込んでしまう。それに、こんなことを答えてしまったら、絶対に出してはもらえないと悟り、首を横に振った。

「答えたくありません」

「答えなければ、ここから出しませんよ」

「…ずるくないですか?」

「なんならここで一緒に暮らしますか?」

「どさくさに紛れて話を飛躍させないでください」

「残念です」

冗談っぽく笑って見せる拡樹だが、静かにベットから立ち上がり、ドアの前に移動した。本気で恵巳を帰さないつもりらしい。

見かけによらず頑固なところがある拡樹に観念した恵巳は、重い口を開いた。