家に帰ってきた恵巳は、郵便物の中に自分宛ての真っ赤な封筒を見つけた。
宛名だけが書いてあり、送り主は不明。

怪しく思いながらも、慎重に封を開けてみると、中から何枚もの写真が落ちてきた。

「なにこれ…」

床に散らばったたくさんの写真。そこに写っていたのは、ホテルの前で並ぶ拡樹と見知らぬ女性だった。

横顔の写真からはそれぞれの表情までは詳しく読み取れない。2人ともどこか別の場所をみていることから、隠し撮りであることは明白だった。

ザワザワと心が激しく騒ぎ出した。ついに、恐れていた現実を突きつけられたような感覚。

その言い訳のしようもない決定的なその証拠に、しばらく、その写真から目を離せず、その場に立ち尽くすしかなかった。