記事には、来館者にはどこに注目してもらいたいか、これからどのような博物館にしていきたいのかなど、インタビューにもたくさん答えている。

めくっていくと、数ページにわたって特集が組まれていた。さすがは人気の博物館の館長。
ここまで大々的に取り上げられると、来館者数はまた増えていくことは誰にでも予想できる。

「凄いな…」

圧倒的な差があることはわかっていた。小さな交流館と有名な博物館。
だけどそれだけではなくて、経営者の腕や知名度にも明らかな開きがあることを見せつけられた。

「これ、あの博物館の館長か?
本物の方がかっこいいんじゃねーか?」

「そうだな。
この前見たけど、すらっとしてたわ。今どきの若者ってあんなんなのな」

「非の打ちどころがないな、こりゃ」

集まっていた父の友人は、好き好きに感想を述べあっている。

「んな関心してないで、ここの交流館も雑誌に売り込もうよ!」

「売り込む?
この館長の後に小関が載るのか?
そんなの逆にかわいそうだろ」

「館長で勝負するんじゃなくて、あくまでここにある資料を…」

その言葉に気まずそうな顔をする恵巳。経営の危機に直面したばかりの頃の父の行動を思い出してた。