「宮園家の3兄弟、上2人はもう既婚者だから、そろそろ結婚してもおかしくないんじゃないかってところから来た、根も葉もない噂みたいなんですけどね。

館長が結婚したら私たちの玉の輿の夢は潰えますもんね!そもそも、あんな素敵な人がまだ残ってるなんてほうが奇跡ですよ。
館長、見合いの話を断わりまくってるそうし。
女性に求めるレベルが高いんじゃないですか?

あれだけ格好良ければ、自信もあるでしょうからね。加えて宮園泰造の息子。多少性格に難があろうと、一生裕福な暮らしができるなら目を瞑りますよね」

「冷たくたって俺様だって、そういうところも逆に良いじゃないの。見合いを蹴ってるとなると、本当に私たちの中から館長の結婚相手が出てもおかしくないと思ってたんだけどな」

柱の影でひたすらメモをとる。宮園拡樹は女性からの人気がとても高い。玉の輿を夢見る女性から常に狙われている。それは、性格に難があろうと人気は揺るがないほど。

そこからも調査を進め、拡樹にまるわる伝説を語ったかのようなメモは増えていった。

父親と似ているところも多く、周囲のことは気にせずに、わが道を行くタイプ。調和を取ることが無く、いつも周りが彼に合わせている。冷たい態度をとる館長には誰も意見できない。

「これが本性ってところなのかな。まるで、若き宮園泰造ね」

情報収取を終えて、メモを片手に博物館をあとにした。

やはり、恵巳には結婚なんて想像がつかず、帰り道にメモをしていたのは、婚約を取りやめにするアイデアであった。