説明を隅々まで読んだが、残念ながら、そこにフランスでどのような花言葉を持つのかは書かれていなかった。
あの時見た額縁からは、力強い印象を持ったが、今見る花はどこか寂し気で、他に見てくれる人がいないことを悲しんでいるように見えた。
空はオレンジから濃い黒に変わっていき、ライトに照らされた花たちは妖艶で、夕方とはまた違った表情を見せていた。
そんなフジの花を眺めながら、今までのことを振り返っていた。
知り合うと同時に婚約者だと聞かされたときには、何の悪ふざけかと思った。それなのに、拡樹の熱心で優しいアプローチにいつの間にか心を奪われていた。
だが、今頃気づいたってもう遅い。
会う前に戻るだけ。知らなかったあの頃に戻るだけ。
何度もそう言い聞かせてきたというのに、こんな思い出の中の場所に足を運んでしまうほど、どうしようもない気持ちに襲われていた。
「ほんと、失くしてからんじゃないと気づかないんだよな…」
あの時見た額縁からは、力強い印象を持ったが、今見る花はどこか寂し気で、他に見てくれる人がいないことを悲しんでいるように見えた。
空はオレンジから濃い黒に変わっていき、ライトに照らされた花たちは妖艶で、夕方とはまた違った表情を見せていた。
そんなフジの花を眺めながら、今までのことを振り返っていた。
知り合うと同時に婚約者だと聞かされたときには、何の悪ふざけかと思った。それなのに、拡樹の熱心で優しいアプローチにいつの間にか心を奪われていた。
だが、今頃気づいたってもう遅い。
会う前に戻るだけ。知らなかったあの頃に戻るだけ。
何度もそう言い聞かせてきたというのに、こんな思い出の中の場所に足を運んでしまうほど、どうしようもない気持ちに襲われていた。
「ほんと、失くしてからんじゃないと気づかないんだよな…」


