夜のドライブで寄ったショッピングモール。そこに、とても大きな絵が飾られていた。そこには紫色の花が額縁をはみ出さんばかりに盛大に描かれていた。
「フジの花ですか、見ごたえがありますね。花言葉も素敵なんですよね」
そう言う拡樹の隣に並んで一緒に見上げた。
「そうですね。和歌で詠まれている花とういうのは、ほとんどが梅だったり桜だったりするんですが、中にはフジを読んだのではないかと言われているものもあります。
とても気品あふれる花ですよね。
花言葉はたしか、優しさとか、歓迎だったと記憶してます」
「はい。花言葉は他の国にもあって、中でも僕は、フランスの花言葉が好きなんです」
「フランスでのフジの花言葉は何なんですか?」
そう尋ねると、笑顔を向けて人差し指を立てて口元へ持って行った。
「秘密です。
もうすぐ植物園で見ごろを迎えます。一緒に行きましょう。そのときに教えます」
思い出すと涙が溢れそうになる。
この時は、一緒に植物園に行くものだろうと当たり前に思っていた。
だがその予定は果たされることなく、恵巳は今、単身でフジの花を見上げていた。
今思うと、関係なんて不確実なものにすがってどれだけ先の予定を決めているんだと、浮かれていた自分に嫌気がさす。
「フジの花ですか、見ごたえがありますね。花言葉も素敵なんですよね」
そう言う拡樹の隣に並んで一緒に見上げた。
「そうですね。和歌で詠まれている花とういうのは、ほとんどが梅だったり桜だったりするんですが、中にはフジを読んだのではないかと言われているものもあります。
とても気品あふれる花ですよね。
花言葉はたしか、優しさとか、歓迎だったと記憶してます」
「はい。花言葉は他の国にもあって、中でも僕は、フランスの花言葉が好きなんです」
「フランスでのフジの花言葉は何なんですか?」
そう尋ねると、笑顔を向けて人差し指を立てて口元へ持って行った。
「秘密です。
もうすぐ植物園で見ごろを迎えます。一緒に行きましょう。そのときに教えます」
思い出すと涙が溢れそうになる。
この時は、一緒に植物園に行くものだろうと当たり前に思っていた。
だがその予定は果たされることなく、恵巳は今、単身でフジの花を見上げていた。
今思うと、関係なんて不確実なものにすがってどれだけ先の予定を決めているんだと、浮かれていた自分に嫌気がさす。


