「寝不足だったんだって?」

「昼間働いてるから疲れてるはずなんだけど、夜になるとなんか考え事が押し寄せてきて、脳がフル回転してるっていうのかな。

でも今頑張らないといけなくて、仕事に打ち込もうと思うほど、拡樹さんのことがよみがえってきたりして。だって、この企画自体拡樹さんの協力があってできたことだから、やればやるほどつらくなる。

何やってんだろ、こんな大事なときに…」

「それってさ…。

考え事の中に、俺のことも入ってる?悪かったな、こんな大事なときに告白なんかして」

蓮がこんなことを言うなんて珍しいと思いながら、黙って瞳を見つめた。

「本当だよね。かなり悩まされたんだけど」

「うわ、少しは否定しろよ。真顔で言うな。そんなことないよ、くらい可愛く言ってみせろっつーの」

「そんなの私じゃないじゃん!

…だから、私らしく答えを出そうと思ったの。やまやんは誰よりも私のこと理解してくれてるんだよね。困った時はすぐ力貸してくれるし、悩み事を真っ先に相談するのはいつだってやまやんだし。

これだけしてもらってて、不思議なんだよね。なんで今まで好きにならなかったんだろうって。

でもそこに答えは出せなくて、その代わりに思ったのは、きっとこれからもやまやんのことは友達として大事な人なんだろうなって。

だから、友達以上に見ることはできないっていうのが、私の答え」

いつの間にかシーツを握る手に力がこもっていた。蓮と話していて、ここまでの緊張感を持ったのは初めてだった。