「ふん、あいつはどこまで使えないんだ。ここまで来て手ぶらで帰る訳にもいかないでしょう。ひとつ情報を渡しましょう。
小関家の蔵には、まだ世に出していない骨董品が眠ってるはずなんです。和歌だけではなく、その時代の貴族が使っていた道具が保管されているのではないかと睨んでるんですがね。
具体的な名前までは聞き出せてはいませんが、その存在をあなたの父親から聞き出すことに成功しています。
あとは、そのまだ見ぬ作品をこちらに譲っていただければ、和歌などとは比べ物にならないくらいの価値になるというのに…」
何の話かさっぱり掴めない恵巳。だが、泰造が冗談を言っているようにも思えなかった。真実はどうであれ、泰造が本気で言っていることは伝わってきていた。
「父から聞き出したって、どうやって…。
まさか…」
当たっていてほしくない最悪の人物が思い浮かんでしまった恵巳。鈍器で殴られて様な衝撃が脳に走った。その可能性が浮かんでしまうと、他の可能性は考えられなくなった。
思い返してみると、夜遅くに父が上機嫌で帰ってくることが何度かあった。そんな時はいつも、「拡樹君と飲んできたんだ」と言っていた。
小関家の蔵には、まだ世に出していない骨董品が眠ってるはずなんです。和歌だけではなく、その時代の貴族が使っていた道具が保管されているのではないかと睨んでるんですがね。
具体的な名前までは聞き出せてはいませんが、その存在をあなたの父親から聞き出すことに成功しています。
あとは、そのまだ見ぬ作品をこちらに譲っていただければ、和歌などとは比べ物にならないくらいの価値になるというのに…」
何の話かさっぱり掴めない恵巳。だが、泰造が冗談を言っているようにも思えなかった。真実はどうであれ、泰造が本気で言っていることは伝わってきていた。
「父から聞き出したって、どうやって…。
まさか…」
当たっていてほしくない最悪の人物が思い浮かんでしまった恵巳。鈍器で殴られて様な衝撃が脳に走った。その可能性が浮かんでしまうと、他の可能性は考えられなくなった。
思い返してみると、夜遅くに父が上機嫌で帰ってくることが何度かあった。そんな時はいつも、「拡樹君と飲んできたんだ」と言っていた。


