綺麗に澄み渡った空、程よい気温。


誰がどう見ても、今日は絶好のキャンプ日和。


「おーい 早く行こうぜ!」


なんてはしゃいでいるのは、樹と紗帆ちゃん。


そう、今日は待ちに待った親睦研修の日!




とはいえ、私と葵ちゃんは日焼け止めを必死になって塗ってるし、


圭くんと那音くんはサッカーの話をしているし。


キャンプファイヤーだの飯盒炊爨(はんごうすいさん)だのに心躍らせているのは


2人だけかもしれない。




私たちの班は3班で、バスの左側の1番後ろに座ることになっている。


うちの班の男女の割合的に、誰かが男女で座らなければ行けないのですが。


まあ、当然 元から仲のいい私と樹に回ってくるよねって話で。


しばらくどっちが窓際に座るかで揉めて、


熾烈なバトルの末、行きの窓際が私、帰りの窓際が樹、と決まった。




やっとの事で座ると、直ぐにバスは出発した。


樹と隣同士でバスの乗るのなんて何年ぶりだろ?


「ねえ、覚えてる?」


そう尋ねてみると、既に樹は寝ていて。


...もうっ! 知ーらないっと。


樹の寝顔なんて初めてでもなんでもないのに、


まだまだ発見がある。


例えば、こんな所にホクロあったんだー とか。


眼鏡の度、私よりも強いのか~ とか。


「着いても起こしてあげないからね」


耳元でそう囁くと、


「あー?」


と目を擦りながら起きてきた。


思ったより顔が近くてドキドキする。


まつ毛がほんとに長いな、


私、これでも女子なんですけど。


完全、負けてる。




「いいよ、寝てて。着いたら起こすから」


って言ったんだけど、


「えー 目 覚めちゃったよ」


なんて言うから。


「うるさいから寝てて欲しかったのに」


つい、意地悪をしたくなる。


「ひでー 俺傷ついた~!」


「アハハッ...」


樹と一緒にいると楽しくてしょうがない。


ずっとこの時間が続けばいいのに...。


ってダメダメ!


変な事考えないんだってば!




結局、そのまま私達はおしゃべりし続けて


目的地に着いてしまった。