「そういえば、班どうするの?」
急に舞子が聞いてくるから、何事かと思ったら。
「もうすぐ親睦研修でしょ?」
「あーっ!忘れてた!」
「本当 馬鹿だね~」
うちの学校では1年生の最初に"親睦研修"なるものがあって。
それがもうすぐなんですが。
私は友達はすぐ出来る方だから、班に誘ってくれた人はいたんだけど...。
「いやー、うちの班 樹がいてね。ぜーったいうるさいよ? 」
そう、うちの班にはなんと樹がいたのだ。
うれしい。すごくうれしい。
...でも。
樹には 彼女が、未来さんが、いるんだから。
ダメだ。絶対。
あくまで、樹とは"腐れ縁"の友達であり、"お母さん"なんだから。
変な事、考えないの、私。
うちの班には、他に
背が高くて男子顔負けのかっこいい女の子、三原 紗帆(みはら さほ)ちゃんと
とっても可愛い女の子、国木田 葵(くにきだ あおい)ちゃんという子がいる。
2人ともすごく整った顔立ちをしていて、いい子たちで。
お世辞にも可愛いとは言えない私はとてもじゃないけど並んで歩けそうにない。
クラスでイケメンだと密かに囁かれている男子もいて。
名前は熊川 那音(くまかわ なおと)くん。実は私と幼稚園が一緒で、隣の席でもあった子だ。
再会した時は本当にびっくりしたけど。
優しくて、面白くて、笑顔が素敵な那音くん。
人気者なのに、気さくで。ちょくちょく私に話しかけに来てくれる。
あと、佐藤 圭(さとう けい)くんという超スポーツ万能な陸上部の子がいる。
すっごく爽やかで、そばを通ると風が吹きぬけるような気がするほど。
あとは、私と樹。以上の6人で行くことになっている。
行き先は、隣町の山の上にある自然の家。
テントで一泊して帰ってくる予定だ。
「楽しめるといいなあ...。」
そう呟きが漏れてしまった。
「大丈夫、大丈夫!」
舞子が励ましてくれる。
「ふふっ」
きっと大丈夫。
そんな気持ちが湧いてきた。
きっと大丈夫だよね。
