ま、まさか優月も白川くんのことが好きだったとは……。
ますます2人のことが気になってきたぞ……。
……でも。好きになった経緯とかはまた今度聞くとして、今は悠真たちの応援しよう!
そう思った私は悠真をコートから探し出す。
うん!安定の見つけやすさ!
悠真は試合の邪魔にならないようなところに突っ立っていて、存在感をひたすら消しているのが伝わってくる。
「瀬名くん、全然動いてないね……」
「まぁ、いつものことだし……」
でも久しぶりに悠真のサッカーしてる姿見たいかも。
そう思ったとき、
「悠真!!」
白川くんの悠真を呼ぶ声が聞こえた。
今ボールを蹴ってるのは白川くん。
白川くんは相手チームにがっちり囲まれていて、身動きが取れない状態だった。
だけど、白川くんはその囲みのなかでも隙間を見つけ、パスを出そうと思ったみたい。
そしてその隙間の先には悠真がいたんだ。
白川くんのパスは相手チームの隙間を縫って、カーブを描きながら勢いよく悠真に向かっていく。
この試合を見てる誰もが、悠真にあのパスなんて取れるはずがない。
そう思ったに違いない。
──だけど。
悠真はボールの軌道上に立つと、ゴールに背を向けた。
そしてボールが悠真の目前にきたとき。
悠真は地面に寝転がるように後ろへ飛んだ。
その勢いのまま、空中にあるボールを頭より高い位置でキックする。
ボールはゴールに吸い込まれるように進んでいく。
──そしてボールは見事、ゴールへ入ったのだ。
