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「白川くーん!!!がんばれー!」
「蛍斗ー!いけー!!」
サッカーの試合が始まった途端、響き渡る声援。
女子も男子も関係なく、どれも白川くんへ向けたものだった。
「白川くん、人気なんだね」
「うん。向葵ちゃんはあんまり知らないかもしれないけど、1年生の中ではいちばん人気だって言われてるんだよ」
「そうなんだ」
「ワンコ系イケメンで明るい性格だし、まだ1年生なのにサッカー部のエースと呼ばれるほどのサッカーセンスの持ち主らしいの」
「なるほど……」
あの声援の意味がわかって、私はうんうんと頷いた。
そりゃ人気ですわ。
……てか、
「優月よく知ってるね」
人見知りな優月が、こんなに人のこと知ってるなんて今までなかったのに、不思議。
そんな軽い気持ちで聞いたら、優月は身をガチっと固めて急に焦り始めた。
「ち、違うよ!別に好きとかじゃないもん!」
「……え」
手をブンブン振って誤魔化してる優月。
そしてあんぐり口を開けてバカな顔をしてる私。
このカオスな状況を打ち破ったのは、あの声援だった。
我に返った私は真っ赤になった優月を見るけど、自分の失態には気づいてない様子。
