悠真はまた顔をしかめると、白川くんにうるさい、と言い続けている。
悠真……なかなか辛辣ね。
「まぁいいや!悠真とはこれから友だちになるし!」
「ならないけど」
「なるんだよ!……ってことで、俺、白川蛍斗(しらかわけいと)っていいます!よろしく!」
そう言って、白川くんは私に向かって勢いよく手をさし伸ばした。
「新橋向葵です……よ、よろしく?」
私は白川くんの手をおそるおそる握ると、そのままブンブンと振られた。
思わず白川くんの顔を見ると、にっこり嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
なんというか……犬っぽいな。
なんて呑気に思っていると、横から悠真の手が伸びてきて、白川くんの腕を掴んで私から離した。
「握りすぎ。長い」
「……ゆ、悠真、もしかして……!」
「それ以上喋んな。その口縫うぞ」
「ほ、本気にしか聞こえない……」
楽しそうに(?)話す2人。
仲良さそうだなぁ、と思いながら見てると、服の裾を軽く引っ張られた感覚がした。
後ろを振り返ってみると、そこには少し困り顔の優月が。
「向葵ちゃん……もうすぐ試合始まるみたいだよ」
そう言われて時計を見ると、試合の10分前をさしていた。
