「でも俺、球技大会に出ても突っ立ってるだけな気がする」
「ごめん、私もそう思う」
存在感薄いからしょうがないよな、と続けて泣き真似をする悠真。
まぁその格好だからしょうがないよね。
かくいう私も、悠真が言った通りになるんだろうけど。
悠真と喋りながら帰っているうちに、いつの間にか家に着いた。
隣同士に並ぶ、この2つの家が私たちの家だ。
「じゃ、また明日。寝坊するなよ」
「それは悠真じゃなくて?」
「アホ。いつも準備が遅くて待ち合わせに遅刻してくる誰かさんのために、俺は20分も早く起きて呼びに行ってるんだよ」
「面目ない」
「思ってないだろ」
失礼な。
私だって努力はしてるんだよ!……一応。
「まぁいいや。次寝坊したらハーゲ〇ダッツ5個な」
「5個!?多くない!?」
「じゃあ俺の20分返せ」
「く、くそぅ!」
悔しくて地団駄を踏んでいると、悠真は向かって右側の自分の家に入ろうとしていた。
「ちょ、早くない!?」
「別に。向葵が変な行動してたから知り合いだと思われたくなくて」
「なにそれひど!ってか近所の人たちには私たちが幼なじみだって知られてるでしょうが!」
「そうだろうね」
えぇ……。
何その冷たい反応……。
私は悠真と話すことを諦めて、大人しく向かって左側の家に入る。
「もう!ちゃんと間に合うようにするから、ハーゲ〇ダッツは勘弁してください!」
そう言い捨てて、私は玄関のドアを閉めた。
