ーガチャリ。 玄関のドアを開けてくれた水樹さんはあたかも自分の家かのように私の家へと上がる。 「こっち?」 それは多分私の部屋のことを言っているのだろう。 「二階上がってすぐの部屋です」 「わかった」 リビングには立ち寄らなかった。 いいや、正確には立ち寄れなかった。 怖くて。 家の中には人の気配はなく、母も兄も姉の姿もなくシーンとした重い空気だけが残っていた。