空に向かって



段々と息がクリアに吸えるようになってきて、涙で視界がぼやけることは無くなった。

口元に当てられている紙袋がポコポコと息をする度に音を立てる。

完全に頭に酸素を入れて、もう大丈夫と言わんばかりに紙袋を手でそっと離す。


「もういいのか?」

ランさんは私にそう尋ねる。

私はコクリと頷いた。


「…あ、りが…とうございます」

そう言ってランさんを見る。無表情だが、心なしか口角がほんの少し上がっているように見えた。


「沙織ー!生き返ったか!?」

「…死んでないし」

「そっか!沙織ー!」

ギュッと抱きついた秀虎に、思わず秀虎が飼っていてた芝犬の“カツオ1号”を思い出した。