空に向かって



チラッとスマホで時計を確認すると、

「やばっ!じゃあね沙織!またね」

そそくさと靴を履き替え小走りで彼氏が待っているであろうところまで行く後ろ姿を見送った。


「遅えよ」

「…ごめん」

ってなんで私が謝らなきゃいけないわけ?

「早くしろ」

すでに上履きから外履きへと履き替えている秀虎は私の足元を見て、

「そのままスリッパで帰るか?」

とバカにしたように言う。