私の腕を掴んでいる逆の手、人混みでみんなそこまでは見てないだろうが、人垣の中央に立っている私たちを邪魔だと言わんばかりの鬱陶しそうな顔は向ける。
麻美もこの刃物は見えていないのか屋台をキョロキョロと、私の事はどうでもよさそうにしている。
「これなにか分かるよね?」
浴衣の帯にトントンとその果物ナイフを当てると再びニヤリと笑う。
「じゃあ君だけでいいから行こうか」
腕から肩を持つことに切り替わる。
「……ごめん麻美、ちょっと待ってて」
「えぇ!沙織だけズルくない??」
ずるいもなにもないから。本当に麻美ってばおバカ!
この状況が目に入らないのか!!


