玲音が小学6年になった頃
亜沙美はPTAの役員になった
パートとPTAの仕事で目が回る位に忙しかった
そんな時‥‥
前の会社にいた同期の保田佳奈と言う友達からお茶を誘われた
その日、夫は例の週末で帰らない、玲音はサッカークラブの合宿で泊まりだった為、久しぶりに亜沙美は友達に逢う為に出かける事にした
「佳奈、久しぶり」
「亜沙美、元気だった?」
未だに佳奈は同じ会社で仕事していた
その佳奈が「こんな事言うと‥‥不安がらせちゃうかも知れないけど‥‥黙ってられないから言うね」
と前置きをしてきた
亜沙美はそれが何だか薄々感じていた
「悟史さんの事?」
亜沙美が問い掛けると佳奈の顔色は変わった
「知ってるの?」
「知ってはいないよ
でもね、何かあると‥‥感じている」
「あんたが‥‥そう言うなら言いやすいわ
あのね亜沙美、本城君‥‥浮気していない?」
「浮気か‥‥多分、してると想う」
「会社では噂になってる‥‥彼、水上町の方の工場を担当していたのね、でも最近水上町の方の工場は移動になったの知ってる?」
「知らない‥‥」
「彼は水上町の方の工場が移動になったのに、水上町の方で見掛けると言う噂が出始めて、会社の方でも何故、移動した後に水上町の方にいるのか?不思議がってた人ばかりだよ
でね、本題はそこから‥‥彼‥‥水上町の方で家族らしき人達と歩いていたらしいのよ
子供は本城君の事を『パパ』と呼んでいたらしくてね
私の方に本城君の家族の事を聞きに来たのよ
本城君の子供は女の子か?って‥‥
私は今年6年生の男の子ですと答えたわ
そしたら会社の方で問題になってね‥‥
彼はもう水上町の方には行けなくなったのよ
そしたら彼‥‥その家族を‥‥この街に呼んだみたいなのよ‥‥
多くの人が彼を目撃してる‥‥」
亜沙美はまるで他人事の様に佳奈の話を聞いていた
予感はあった
だけど‥‥
こうして聞いてしまうと‥‥
揺れていた
