父と別れて玲音は母の実家の方へと帰る事にした
どうせ亜沙美もそこにいるのだろう
亜沙美の実家は県内でと名家と謂われる家で資産家だった
アパートやマンションや借家を多く出掛けて、不動産も転がしていた
母に兄弟はなく一人娘だったから、親族はそれは喜んで祖父母に取り入っていたのに‥‥
ある日突然、娘が帰って来たから気が気でないのだろう‥‥
入るモノが入りそうもないと解ると掌を返した様に嫌がらせも受けたし
本当に人間は汚いなって人間不信になりそうにもなった
だが亜沙美はそんな人間を笑い飛ばして
「そんな人間に関わっている時間はないの!」
と人生を謳歌しているのだ
そんな母を見てると反撃に出るのもバカらしくて相手しないでいる事にした
祖父母は総ての財産を玲音に遺そうと親族を切っていた
亜沙美は「そのうち親族に消されるかもね」と笑っていた
自分が招いた事なのに‥‥蹴り飛ばしてやろうかと想ったが倍返しにされるので止めた
亜沙美は「まぁ玲音に何かしようものなら‥‥黙ってないけどね」と真顔で謂われて‥
母ならやりそうで怖かった
だけど俺は幸せに笑っている
誰も憎む事なく笑っている
そんな自分が誇らしく想える
言い出したらキリがない‥‥
怨みや辛み‥‥
そんな想いを今の幸せと天秤にかける
今‥‥幸せだから不幸は押し込める
不幸に酔えば不幸は連鎖を始めるからだ‥‥
幸せには先があるが
不幸には先はない
だから幸せを感じて生きる
それが‥‥この家族の出した答えなのだから‥‥
