「また逢おう父さん
母さんはお前の好きにして良いって言ってくれた
親子の縁は切れたとしても、お前中に在る父さんの血までは切れないのよ‥‥って言ってくれている
だからさ父さん、まあ逢おう」

「お前が逢ってくれるのなら‥‥逢いたいよ」

「何時でも好きな時に逢おう
俺達は‥‥親子じゃないか‥‥」

悟史は堪えきれなくなり‥‥

泣いた

玲音はハンカチを取り出すと父の涙を拭いた

「こんな父さんを見れたから‥‥憎む想いも、悔しかった想いも‥‥全部なくなったよ」

「玲音‥‥」

「俺はあなたの子だから、俺をガッカリさせる事はさせないで下さい」

「あぁ‥‥お前に誇れる人間でいられる様に努力するよ」

「それじゃ父さん、今日はありがとう」

「此方こそ‥‥本当にありがとう」

「じゃ父さんまた」

「あぁ‥‥また」

そう言い親子は別々の方へ歩き出した

別々の家へ帰る為に歩き出した


玲音は母の待つ家へと

悟史は亜依や真依が待つ家へと‥‥


別れた


悟史は胸を張って歩いた

玲音に誇れる自分でいる為に、自分を磨かねばと想っていた

真依に誇れる父でもいなければ‥‥

一歩

また一歩

悟史は家へと向けて歩いた

家族の待つ家へ‥‥



今度は迷う事なく帰って行った