今だって父親はいないみたいなモノなのだ‥‥
「俺さ‥‥母さんには言ってなかったけど、小学校の頃、水上町へ行った事あるんだよ」
亜沙美は「え?‥」と驚愕の瞳で玲音を見た
「サッカーの試合で水上町へ行った時、父さんを見掛けた
その時、父さんは女の子と手を繋いでいた
バスでパッと見掛けただけだから‥‥見間違いなら良いなって想った
亮平に話したら確かめろよって協力してくれて、女の子に変装して水上町へ行ったんだ
そしたら父さん‥‥見た事もない優しい顔して笑って、女の子と手を繋いでいた
俺の横を‥‥通り過ぎて行ったよ
実の息子が‥あの人には解らなかったんだ
あの人‥‥女の子が欲しかったのかな?
男の俺じゃダメだったのかな?
何度もそう想った‥‥そして悔しくて堪らなかった
その日から俺は‥‥あの人の事を父親だと想うのを止めたんだ」
亜沙美は優しく玲音の頬に手を掛けた
「ごめんね玲音‥‥
ごめんね幸せな家庭であなたを育ててやれなくて‥‥」
「良いよ母さん
もう良いんだ‥‥離婚してよ
母さんの姓になり新しく始めようよ」
「そうね‥‥答えを出す日が来たのね
なら母さんも頑張らなきゃね!
そうよ、私は猪突猛進の性格で言い出したら梃子でも動かない奴だったわ
何で忘れてたのかな?」
「母さん‥‥二人で頑張ろう
そしてもしまた誰かを愛する事があったら、再婚しなよ
今度は‥‥ちゃんと二人でいられる人を選びなよ」
「そうね、何時か‥‥誰かを愛したなら、私が一番と言う人を‥見付けるわ」
「そうだよ母さん」
「ありがとう玲音
あなたがいてくれたらから私は此処まで生きてこられたわ」
「母さん、俺も‥‥あなたがいたから人よりも倍頑張って来られたんだ!
これからも頑張るからさ、二人で生きていこうよ」
