俺と喋らない彼女との幸福な生活。


「申し訳なかったと思ってるよ」


「でも俺だって、お前の声が聞けないのは悲しい」


本当に申し訳なさそうな顔をして、その男は頭を下げました。

違う。

そういうことじゃない。

私の名前すら知らないこの人は、本当に何も分かっていないのです。



「…違うの?じゃあ、もしかして手の方?」