俺と喋らない彼女との幸福な生活。

「…あー、また負けちゃった」



結局、俺達はオセロに落ち着いた。

彼女を床の上に敷いた座布団の上に座らせ、

俺は胡座をかいて彼女に向き合った。

こうして穏やかな時間を過ごせることが、

結局お互いにとって一番なんじゃないかと思う。


「このゲーム、お前ほんと強いよね」

「ずっとやってれば、いつか上達すんのかな…」

「…それまで、付き合ってくれる?」


そう言って笑いかけると、彼女は少し呆れたような顔で頷いた。


…少しリラックスできたようで、良かった。


そう思った矢先、俺の携帯電話の着信音が鳴った。