俺と喋らない彼女との幸福な生活。

「…え、違うの?」


「…ああ」


「テレビ観たいってことね」


今度はしっかりと頷く彼女。でも、それは無理だ。


「ダメだよ。前から言ってるでしょ?テレビとか、ネットは駄目」


「雑誌とか音楽もね。まあ、クラシック程度なら聴いてもいいけど」


「特にマスコミは勝手な言葉ばっか並べ立てて、本質を見ようとしないし」



これは事実だ。

あと、彼女がメディアに触発されて、こんな状態で外に出たがったりしたら困るし。


「…それに、ほら」


「俺以外の男が出てくるでしょ?」