研究所を出たアイリスが見た世界は、美しい自然が豊かな場所。それに場違いな町並みも広がっている。

「これがこの世界。じゃあ、あの町に行ってみようか」

ビオラは不思議な乗り物に乗っている。この乗り物は、発展した科学技術を応用して作られた乗り物だ。

「アイリス、隣に乗って。動くよ」

アイリスが乗り物に乗ったのを確認したビオラは、乗り物を動かす。すると、乗り物はふわりと宙に浮いた。

「この乗り物は『浮遊車』と言って、空を飛んだり地面を走ったり出来る小型の乗り物なんだ」

浮遊車を空中で走らせながらビオラは言う。ビオラはアイリスに説明を続けた。

「これ、昔は地面しか走らなかったし1トン近くの重さがあったと言われている。昔の言葉で――そうだ。『自動車』!自動車って呼ばれていたんだ!」

ビオラが前に習ったことを思い出しながら言う。ビオラの生まれる何十年も前にこの浮遊車が誕生した。

ビオラがそんな説明をしているうちに、ビオラたちは都市にやってきた。ビオラは浮遊車の速度を落としながら、慎重に運転をする。

アイリスはそっと下を見る。空を飛んでいる人、空中にお絵描きをしている人、何やら丸いものを投げている人――。

色々な人がアイリスの目に飛び込んだ。