「なんで私がビビらないといけないのよ!試合、楽しみにしてるから。勝ちスコア書かせてよね!」






「おう!もちろん!絶対勝つ。やっぱ俺って、ナンバーワンのピッチャーじゃん?!」





こーやってすぐ調子乗るんだから。
でも、暗い顔しているよりもこうやって調子乗ってる方がまだいい。






最強だの、ナンバーワンだのワーワー言ってくる丈を無視して歩みを進める。






そうしてるうちに家に着いた。
丈とは幼なじみなんだけど、家もほんと目の前なんだ。






「じゃあな!明日もマネージャーよろしく!」






「うん!今日もお疲れ様!バイバイっ」






「おう!」






いつものお決まりの挨拶をしてお互い中に入った。






「ただいまー。」






そう声をかけるけど、返事はない。
そっか、今日お母さん夜勤か。






うちは、母子家庭。父は、小さい頃に病気で亡くなったらしい。私がまだ産まれたばっかりの頃だったから、もちろん私はお父さんの記憶が無い。






でも、お母さんから聞くお父さんはすっごく優しくてかっこよかったらしい。多分だけど、美化されてるよね。






1人で納得して、さっさとお風呂に入る。
今日もほんと疲れたなぁ。やっと組み合わせも決まって、皆気合い入れ練習してるし私ももっと頑張らなきゃなってそう思う。






その日は早めにベッドに入った。