おサイフから取り出したのは…………

あの日

私に向けられて撮った

笑顔の先生。

「私にとって、この写真は………
唯一
先生と私を繋ぐ………
架け橋だった。
諦めたいけど………諦めきれない恋心。
この写真を見ては………。
『先生も私を…………』と想像して…………
後少しだけ……好きでいようって思っていたの。
…………………諦めなくて……………良かった。」

スッと、私の手元から抜き取られた写真。

「………………この瞬間だけは………。
教師としての俺じゃあなくて。
『亨』として………
桜に笑いかけたんだ。
………………この写真は…………
俺の思い出でもあるなぁ。」

高校教師と生徒。

小説やマンガでは、昔から沢山取り上げられてきた。

私も何度か読んだことがあるし。

そんな事ないよ！って

突っ込みを入れたくなる程…………

ドラマチックな話しが多い。

でも………………

現実の恋は。

ホントに切なくて…………

諦めることばかり考えてた。

報われないって分かってるのに…………

次の日

また学校で、先生の笑顔に出逢うと……………

昨日以上………好きになっていた。

………………………………みんながみんな………

報われるとは思わない。

けれど

何もしないで………黙っていたら。

生徒と先生の関係だけで、終わってしまう。

それ以上は…………

縮まらない距離。

だったら。

怖いけど…………勇気を出しても良いのかもね。